AEDの点検と管理の方法

AEDの普及が進んでおり、今では学校や公民館等の公共施設、ショッピングモールやコンビニ、小さなクリニックでもAEDを設置している施設が増えています。
AEDは、もしもの時に正常に動作しなければなりません。日頃から点検・管理を行い、いつでも使用できる状態にすることが重要です。また、点検等で普段からAEDに触ることで、いざという時も落ち着いて操作できるようになります。積極的に点検を行いましょう。

では、AEDの管理方法や点検方法についてまとめていきましょう。

目次【本記事の内容】

1、AEDは医療機器です

AEDは薬事法という法律で、高度管理医療機器と特定保守管理医療機器に指定されています。
簡単に言うと、高度管理医療機器とは、不具合が起きた時に人体へのリスク(危険)が高い医療機器という意味です。特定保守管理医療機器とは、適切に保守点検、修理を行ってくださいという意味です。
操作は簡単ですが、人の生命や健康に重大な影響を与える医療機器なので、点検や管理に関する条件は厳しいものになっています。  
ですが、心配しすぎることはありません。AEDには自己診断機能が付いているので難しい点検等は必要ないので安心してください。のちほど詳しく説明します。

2、AEDの管理について(設置者と点検担当者)

AEDを新しく設置する時は「設置者」と「点検担当者」を決めます。すでに設置している施設でも、設置者と点検担当者を再度確認しておきましょう。

「設置者」とは
AEDの設置や管理に責任を持つ人です。施設の管理者等が設置者になっていることが多いようです。設置者は、「点検担当者」を決め、「日常点検」を実施させなければなりません。設置者が点検担当者も兼任することもできます。

「点検担当者」とは
毎日の点検を担当する人の事です。点検担当者は一人でなくても大丈夫です。複数名を点検担当者としたり、交代制にしてもOKです。毎日の点検を無理なく行えるように工夫して決めましょう。

3、日常点検とは

毎日行う点検を日常点検と言います。「毎朝行う」などと時間を決めると、点検忘れがないと思います。
日常点検は点検表に従って行います。点検表は製造販業社やメー販売店、HP等からも取り寄せやダウンロードができます。取扱い説明書に記載されていることもあるのでチェックしてくださいね。

 

実際の点検
AEDには自己診断機能が備わっています。自己診断の結果を、インジケータと呼ばれるマークで示しています。インジケータの位置や表示方法はAEDの機種によって違いますが、外見から見える位置にあるものがほとんどで、色やマークで使用の可否をわかりやすく表示しています。

日常点検では、このインジケータの表示が正常(合格)になっていることを確認します。
もしも、インジケータが異常を示していたら使用できません。取り扱い説明書で異常の原因を調べましょう。わからない時は、製造販売業者等に連絡しましょう。

4、消耗品の管理

AEDの消耗品は、電極パッドとバッテリー、AED本体です。

電極パッドの管理
電極パッドには使用期限が記載してあります。使用期限を過ぎる前に新しい電極パッドと交換します。
使用期限を過ぎたパッドは劣化し粘着力が低下します。そのまま使用すると、皮膚と電極パッドとの抵抗が高くなり、電流が適切に流れず適切に治療ができなかったり、やけどの原因になるため使用してはいけません。
使用期限を点検表に記載する、目立つ位置(タグ)に表示するなど、期限切れが発生しないように工夫すると管理しやすいです。

当院では、期限切れの電極パッドは練習用として活用しています。本物の電極パッドを開封して、AEDの操作を行えるチャンスは少ないので、使い方の勉強会を開き、設置部署のみんなで情報共有できるといいですね。
ただし、期限切れ、開封済みの電極パッドと使用できる電極パッドが混同したり、間違えて使用することがないように注意してください。

バッテリーの管理
多くのバッテリーは4~5年で消耗します。バッテリーが消耗すると、自己診断でエラーとなり、インジケータで異常の表示がでます。エラー(インジケータの異常)が確認された時は製造販売業者や販売店に点検を依頼しましょう。バッテリーの消耗期間は設置場所や使用頻度等の条件により変動します。予想以上に早く消耗することもあるため、日常点検での確認が重要になります。

 

AEDの耐用期間
AED本体にも耐用期間があります。製造販売業者が耐久性を保証する期間が耐用期間です。耐用期間は添付文書や取扱い説明書に記載されています。耐用期間が不明な場合や、耐用期間経過時の対応については、製造販売業者に問い合わせましょう。

 

製造販売業者や販売店によるサービスを確認しましょう
製造販売業者や販売店との契約等によって、消耗品の交換時期を教えてくれたり、定期的な点検やメンテナンスを行ってくれると会社もあります。AEDのレンタルサービスも最近は普及しています。AEDを購入・レンタルする際は、導入後のサービスについても確認しておくといいですね。

5、AEDの廃棄と譲渡

AEDは高度管理医療機器、特定保守管理医療機器として製造販売業者や販売店で設置場所の登録や管理をしています。廃棄や譲渡の際は製造販売業者や販売店に連絡しましょう。

6、設置場所を登録しよう(日本全国AEDマップ)

AEDの設置場所の登録を一般財団法人日本救急医療財団で行えます。登録した内容は「日本全国AEDマップ」に表示され、誰でもホームページやアプリからAEDの設置場所を検索できるようになります。
知らない場所でAEDが必要になった場合も、地図上でAEDの設置場所を教えてくれるので便利です。ぜひ、積極的な登録をお願いします。

「日本全国AEDマップ」について
登録されているAEDの設置場所を地図上で表示してくれます。スマホにアプリで入れておくと、自分の位置情報から近くのAEDを探してくれるのでとても便利です。

「日本全国AEDマップ」

 

 

https://aedm.jp/https


今回はAEDの点検と管理についてまとめました。
心停止や心室細動の時は、一刻も早く胸骨圧迫を開始し、循環の補助をしてあげる必要があります。そして、AEDを使用し、できるだけ早く心室細動を止めることが重要です。もしもの時に、正常に動作するように、日ごろの点検や管理が重要です。